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バスケットボール部

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つれづれなるままに~門出~

投稿日2021/3/23

 3月の異名、弥生は元々、「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」といわれていたそうだ。「草木が若々しく元気に芽吹き、花々が次々と咲きほころぶ月」という意味を持ち、ひいてはますます命が盛んになる季節の始まりとも解釈できよう。
 去る3月6日の春麗らかな日に彼らはにちがくを巣立っていった。この代は栄えある東京都Best8という成績を努力と継続で掌中に収め、「心技一体」という部訓を見事、体現した代である。必然、今年の卒業証書授与式はこれまでにない感慨深い気持ちで式に参列したことはいうべきにあらず。だからキャプテンがクラスを代表して証書受領に登壇した時は目頭が熱くなりもした。次いで病に倒れながらも見事、コートに立てるほどにまで回復した生徒が表彰され、登壇すると更なる涙を誘われてしまった。それは決して私だけではないはず。

(2020年度「年間記録集から)
第4Q、日本学園は必死の追い上げを見せる。マンツーマンプレスでしつこく守り、攻撃
に転じるスピードはさすがの一言。この第4Q だけで日本学園#8が4本の3P を沈めて意
地を見せる。追い上げムードを断ち切るために八王子がタイムアウトを取る場面も。もうすぐで1桁差まで追い詰めるところで、終盤は八王子の#56が連続得点して勝負が決まる。最終スコアは102−88。
両チームとも3年生のリーダーシップと、身長はないが走ることでペースをつかむ試合運びはすばらしく、今大会の最終試合にふさわしい好ゲームだった。

 このコメントはにちがく勢の最後の試合である八王子学園戦のもの。強いだけではなく誰からも応援されるチームたれと願いつづけたこの3年。高さもなく留学生も不在ながらディフェンスとスピードを武器に果敢に挑戦することを止めなかった。切り替えの早さや備品の管理も怠らず「にちがく」としてのプライドを大切に抱き続けた。コート上だけでなくコート外の振る舞いにも気を配った末の賜物ともいえる上記のコメントは門出に相応しい餞の言葉ではないか。
 順風満帆とは言い難き3年間を過ごしてきたにちがく勢。しかしそれは捉えようによっては成長に繋がる試練と言ってもいい。私の好きな作家、山本周五郎が作中で主人公に言わせている。「心に傷を持たない人間がつまらないように、あやまちのない人生は味気ないものだ」と。
 
 各々の進路は異なれど同じ釜の飯を食った者同士、その繋がりは途絶える事なかれ。バスケを続ける者、違う何かにチャレンジする者、にちがくのバスケを通して学びしことを広めたれ、そして支えてくれし方々への感謝を忘るることなかれ。
 外国では9月が新生活の始まりだとされる。日本でもそれにシフトチェンジする動きが過去に幾度となくあった。でも門出には命の芽吹きを意味する「桜咲く木草弥や生ひ月」がこの上なく似付かわしい。
「さよならは別れの言葉じゃなくて 再び会うまでの遠い約束」
新たな人生を「は-じ-めま――――す」「いくぜ!」「よし!」