
教員室リレートーク
「おもろい話し方」高1F担任(数学科)
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
新しい学校、新しいクラス。ワクワクする気持ちとともに、人間関係やコミュニケーションについて少し不安に思う人もいるかもしれませんね。
そんな皆さんにおすすめしたいのが、芝山大補さんが書かれた『おもろい話し方』という本です。芝山大補さんは、元お笑い芸人さんで、今はネタ作家として活躍されている作家さんです。
この本では、「おもしろい話し方」をちゃんと筋道立てて考えることができるから、10代の皆さんにこそ、ぜひ読んでほしいなと思います。
さて、ここからはこの本について紹介したいと思います。
本書の面白いところは、単に人を笑わせるテクニックに終始するのではなく、「おもしろい」という感情が生まれる根源的な要素に着目しているところです。ユーモアのセンスは先天的なものではなく、後天的に磨けるスキルであると明確に示し、具体的な方法論が丁寧に解説されています。
特に印象に残ったのは、日常の中に転がっている「おかしみ」を見つける「観察力」の重要性です。日常の中に潜む小さな違和感や、人がクスッと笑ってしまうような場面を見逃さないアンテナを磨くこと。そこから得た気づきを自分の話に加えたりすることで、誰もが共感しやすい面白さを作れることを教えてくれます。そういえば、昨年のM-1グランプリで優勝した令和ロマンの漫才は、誰もが共感できる苗字と出席番号についてのネタをされておりましたね。
また、「共感力」の重要性も繰り返し述べられていました。一方的なおもしろさは独りよがりになりがちですが、相手の気持ちや状況を理解し、共感をベースにしたユーモアは、より深く相手の心に届きます。著者は、相手の立場に立って考えること、共通の話題を見つけること、そして何よりも相手への温かい眼差しを持つことの大切さを説いています。これは、友達との会話や、これから始まる新しいクラスでの人間関係で、すごく役立つ力だと思います。
さらに、元お笑い芸人さんならではの、具体的な話し方や表現についても書かれています。
同じ内容を伝えるにしても、言葉の選び方、間の取り方、声のトーン、そして身振り手振りの使い方一つで、聞き手の印象は大きく変わり、本書でも具体的な表現方法として、比喩や擬人化、誇張といったテクニックが紹介されていますが、それらはあくまで「伝える」という目的を効果的に達成するための手段であると強調されています。単に奇抜な言葉を使うのではなく、相手に情景が浮かぶような、生き生きとした表現を心がけることの重要性を述べられていました。
『おもしろい話し方』は、単なる技術論ではなく、人間関係を円滑にし、人生を豊かにするための重要な要素であるというメッセージが強く伝わってきます。ユーモアは、緊張を和らげ、親近感を抱かせ、コミュニケーションをより楽しくする力を持っています。それは、学校生活やプライベートな人間関係においても、かけがえのない財産となるでしょう。
本書は著者の語り口そのものが「おもしろい」と感じさせる魅力に溢れています。難しい理論を並べるのではなく、自身の経験や日常の些細な出来事を面白おかしく語られていることで、自然と引き込まれ、楽しみながら「おもしろい話し方」の真髄を学ぶことができます。ぜひ、皆さんも読んでみてください!
「おもろい」人間になりたいね。